
大阪・関西万博の開幕以来、ハンガリー・パビリオンではほぼ毎日のように来場者を魅了するイベントやプレゼンテーションが行われています。
ここ数週間は、長年にわたり芸術を通してハンガリーと日本をつないできた女性クリエイターたちにスポットを当てた特別なプログラムが開催されました。ハンガリーの絵本作家や陶芸家、現代美術家たちの紹介では、作品制作の裏側や、日本の美意識・哲学から受けた影響についても触れられ、訪れた人々に新たな視点を与えました。
中でも、ハンガリーを代表する絵本作家・マレーク・ベロニカ氏の講演は大きな注目を集めました。日本でも広く親しまれている名作『ラチとらいおん』の誕生秘話を語る姿に、会場は温かい感動に包まれました。また、会期中にはハンガリーの女性映画監督たちの作品も紹介され、「老い」「世代間ギャップ」「フィルム修復」といった社会的・文化的テーマにスポットを当てた上映とディスカッションも行われました。
ハンガリー・パビリオンでは、来場者が参加しながら楽しめるインタラクティブなプログラムも充実しています。なかでも、ハンガリーと日本の文化的ステレオタイプをユーモアを交えて掘り下げるアクティビティは、多くの笑顔を生み、意外な共通点や親近感を発見するきっかけとなりました。
中でも印象的だったのが、「日本の煎茶道」と「ハンガリーのおもてなし文化」が象徴的に交差したひととき。お点前には特別な許可を得てハンガリーの伝統的な陶器ミシュカ水差しが登場し、来場者に玉露とサモシュ社のマジパンが振る舞われました。
さらに文化プログラムは音楽の力でいっそう豊かに彩られました。ピアニストのカーエ・ノルバート氏によるクラシックとジャズを融合させた繊細な演奏に始まり、ヘゲデューシュ・エンドレ氏とカタリン夫人による華麗な連弾が会場を魅了。そして、ハンガリー国立民俗舞踊団が披露したカルパチア盆地の多彩な民俗舞踊は、迫力あるパフォーマンスで世界中から集まったオーディエンスに大きな感動を与えました。
芸術を通して国を超えてつながる瞬間――そんな豊かな時間が、ハンガリー・パビリオンでは日々生まれています。