大阪万博の会場にあるハンガリー・パビリオンが、ここ数週間で本当の意味での「文化交流の場」となっています。演奏会や講演、ワークショップなどを通して、日本の来場者にハンガリーの多彩な魅力を伝えてきました。

中でも注目を集めたのは、学術・ビジネス分野の講演です。ハプスブルク財団は、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子・ハプスブルク・オットーと日本とのあまり知られていないつながりを、貴重な資料とともに紹介。息子であるゲオルグ・フォン・ハプスブルク氏も登壇し、父との思い出を語ることで、来場者にとって特別な時間となりました。

また、ハンガリー・ファッション&デザイン局によるクリエイティブ産業についてのディスカッションでは、ハンガリーのものづくりの実力だけでなく、そこに込められた女性ならではのビジョンや感性が未来をどう形成していくのかが語られ、参加者の関心を集めました。
ハンガリーと日本の観光交流をテーマにしたワークショップでは、コロナ禍で落ち込んだ交流をどう回復させるかが話し合われました。万博のテーマでもある「持続可能性」と「イノベーション」に関連しては、ハンガリーの養蜂を取り上げ、環境保護や送粉者の重要性についての発表が行われました。

さらに、世界でも珍しい「マンガリッツァ豚」の試食イベントも開催され、その豊かな風味と健康効果が日本の来場者を魅了しました。Wines of Hungaryによるプレゼンテーションでは、3人の女性ワイン醸造家が登壇し、ワイン業界における女性の活躍とハンガリーワインの魅力を語りました。

音楽ステージでは、パールハージ・ベンツェ・バンドとツィンバリバンドがそれぞれ3回公演を行い、ハンガリーの民謡とフォークジャズの情熱的な演奏が会場を沸かせました。
そして、文化を「手で感じる」体験も。トウモロコシの葉や麦わらを使った伝統工芸のワークショップでは、参加者自身が作品を作り上げ、ハンガリーの手仕事の温もりを実感できる時間となりました。

ハンガリー・パビリオンは、単に文化を紹介するだけでなく、「つながり」を生み出す場でもあります。音楽、手仕事、語り、そして味覚。さまざまな形で心が通い合い、ハンガリーと日本を結ぶ文化の架け橋がここに生まれています。今後もこの特別な関係が、両国にとって豊かな実りをもたらすことを願っています。